退職を決意、初めてのメキシコ滞在
40歳を目前に控え約17年間勤めていた会社を辞めた。仕事内容自体に大きな不満がある訳では無かったが(環境に不満はあった)、多くの人がそうであるように私も以前からこのまま定年まで過ごすことに漠然とした不安と疑問があった。元々価格競争が激しい業界に分類される給与の高くない職種ではあったが、コロナ禍を経て社員数は減るばかりか仕事量はさらに増え、ボーナス支給がなくなり給与は大幅に減額(100万円以上減った)、個人では体調を崩しがちでちょくちょく有休を消化してしまうため、纏まった休暇を取ることも難しかった。39歳独身、子なし、一人なので給与が低くとも生活には困らなかったが、そんな生活に耐え難い息苦しさを感じていることも事実だった。酸素を求めて水面に上がり、口をパクパクさせている金魚のような感じだ。
そんな折、パートナーから暫くメキシコに来ないかとの提案があった。彼はコロナ禍に主な拠点を日本からメキシコに移した為、私達はすでに約2年間会っていなかった。ただ、暫くとはいってもなにしろ会社を月単位で休むことは不可能、また休職もできないという事もあり、もし彼の提案に乗るならば選択肢は退職しかなかった。39歳で退職。。確かに現在の仕事や生活に疑問は持っていて転職という選択肢も考えてはいたが、いざ退職という2文字が頭をよぎると不安が押し寄せて来た。元来環境の変化に弱くビビりなのだが、コロナ禍では在宅勤務を良いことに自宅に引きこもり完全に自分の殻に閉じこもっていたためビビリは勿論悪化していた。そこへ来て、着実にキャリアアップをしてゆく友達を横目に、私は転職もキャリアアップの計画もせずに同じ会社で同じ仕事を17年間してきたという事実がのしかかってくる。自分の武器となるようなスキルもなく(寧ろexcel等の基本スキルすら怪しい)、白状すればそもそも基本的には働きたくない怠惰な自分がいる。流れる時間にそのまま流されて来た自分が今更仕事を辞めて大丈夫だろうか?環境の変化を得意としない自分はこのまま同じ繭の中で過ごしていた方が200倍楽なのでは?と。
ただその一方で、今が潮時という気持ちも捨てきれなかった。もしも退職をするのであれば、今決断しなければ恐らくこの先もダラダラと惰性で現状の生活を続けることになることは明らかだったからだ。
パートナーと私は彼が日本に住んでいた時も同棲はしておらず、それぞれに一人暮らしをしていた。加えて日本国内での遠距離、日本と海外との遠距離と離れて過ごす時間が多く、一つ屋根の下で一定期間共に生活をするという経験はなかった。その為、在職中は難しかった海外への長期滞在とパートナーとの同棲という新たな経験への好奇心は退職という決断に際しての最後の一押しとなったのだった。
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