一戦目:20代 発症箇所:頬(輪郭より)、顎
就職して2年程経過した頃、右頬(もみあげ寄り)に熱と痛みを感じ始めた。数日後、該当部分に赤みが出て肌の内側から押し上げられているかの様な膨らみが確認できた。押してみると案の定痛い、ニキビ特有の白い膿は確認ができなかったが明らかに吹き出物。これが実に厄介な吹き出物であり、ここから数年間所謂大人吹き出物との戦いが始まった。
さて、右頬の赤い吹き出物は一つから二つ三つと徐々に増殖し、更には悪化すると紫色になった。侵食範囲は顎にまで達し、もはや影響を受けていないのはおでこと頬の中心だけとなる。
この頃になると毎日自分の顔をみるのも嫌になったが、化粧をする為に鏡を見ると親の仇を見るかのように吹き出物を凝視してしまい、化粧をするのにやたらと時間が掛かった。悪いことには化粧をしたとて赤みや膨らみは消せず、それどころかすっぴん時の方がまだマシに思えるほどだった。
幸運にも、学生時代には吹き出物などの肌荒れで悩まされたことは一切無く、肌が綺麗と言われたことすらあった。その為、当時は肌に何が起きたのか全く理解できず、突然に現れて生活を一変させた吹き出物に心を削られ毎日が本当に辛かった。こうした肌の状況は性別年齢関係なく、吹き出物やその他の肌トラブルに悩まされている人に共通して言える事だと思うが、大袈裟ではなく外に出るのも苦痛になる。何しろ顔を隠して生活することはできないから。誰も自分の顔など見ていないだろうに、常に自分の肌を見られているかのような錯覚に陥ってしまうのだ。
皮膚科ではお馴染みのアクアチムクリームやローション、ビタミン剤などを処方してもらったが全く効果なし。この状態で1年経過。続いてピル、光照射。普段の生活では枕カバーを毎日交換する、敏感肌用のスキンケアに変える、外出しない日も日焼け止めを塗る、といった具合。ピルと光照射のコンビネーションが良かったのかは謎だが、これについては1年半ほど継続すると効果があったのか徐々に吹き出物ができなくなり収束していった。
ただ、何事もなかったかのように肌が綺麗に治った訳ではない。20年あまり経過した今も、すっぴん時には目視で光照射の後がはっきりと確認できる(毛穴?と多少凹凸や赤み)。これは光照射を始めた時点ですでに患部の状態が悪化していた事や、症状が治ってきた際の自身のケアが良くなかったからなのかもしれないが、一度真皮にまでダメージが入ってしまうとその傷跡は残るという事を身を持って知った出来事であった。今でも該当箇所に小さな吹き出物ができるだけで、また再発するのではないかという恐怖が付きまとう。
光照射で収束して終わったと思っていた肌荒れとの戦いは、その後7年程のインターバルを経て32歳頃に再度襲ってきたのである。
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